昨日花屋さんの前を通りかかると、陶器のサンタさんが売られていました。
玄関に置いている、大粒のどんぐりをストックした瓶、
その上に飾りました。
実は、
アメリカ・カンザスシティで、毎年クリスマスにサンタの格好をして、
困っている人たちに20ドル紙幣を配る男性「シークレットサンタ」の話を思い出して、つい買ってしまいました。
彼(ラリー)がサンタになったのには、きっかけがありました。
彼は23歳で失業中、空腹のあまりレストランに入り無我夢中で食べてしまいました。
しかしお金はありません。
財布を落としたフリをしていたとき、
レストランの主人が「これはあなたが落としたお金に違いない」と20ドル札を差し出してくれたのです。
この時の好意が後にサンタを生み出したのです。
それ以後、がんばって働き家族にも恵まれましたが、7年後にまた職を失います。
その日の食事代にも困るほどに追いつめられ、貧しさのせいで我を忘れ、銃を手に銀行に入り、強盗を働きそうになった時。女の子が貯金に持ってきた20ドル札を見てふと我に返り銀行強盗を思いとどまりました。
そしてすぐさま、
あのレストランに行き、主人に「あのお金はあなたのお金では……?」と、尋ねると、「クリスマスはみんなが幸せになる日なんです」と言ってくれました。
この時、彼がしてくれたことをいつか誰かにしようと思ったそうです。
改心した彼は、セールスマンとして懸命に働きました。
そのとき、たまたま辛そうな人に遭遇し、自分が困っているにもかかわらず
20ドル紙幣を「メリークリスマス」という言葉とともに差し出します。
相手の人の喜びに自分まで幸せな気分になった彼は、貯金を全部下ろして、街の困っている人たちに20ドル紙幣を配り始めたのです。
そして、また友人と会社を興しました。
苦しい時代も、シークレット・サンタとなって人々を助けることをやめませんでした。
すると、業績はどんどん良くなり、配る額も少しづつ増えていきました。
いつしか彼は「シークレット・サンタ」と呼ばれるようになっていったのです。
彼はそれからも1年も休むことなくシークレットサンタの活動を続けましたが、9年目の1987年、ついに妻にシークレットサンタがラリーであることがわかってしまいました。
謝るラリーに、妻は「素敵なことじゃない……協力するわ」と言いました。
2001年には世界貿易センタービル爆破事件のあったニューヨークに行き、ホームレスや職を失った人たちに2万5000ドルを。
2005年にはハリケーンで被害を被ったミシシッピー州で、7万5000ドルを配りました。
シークレット・サンタは、決して身分を明かすことはしませんでしたが、
食道ガンのため治療しなければ1ヶ月生きられないと宣告され、ついに正体を明かしました。
彼の笑顔と優しさにどれだけの多くの人たちが救われたことでしょう。
私は、この話を聞いて幸せになりました。
生前ラリーは、シークレットサンタ協会を設立、今でも世界中から登録の申し込みが後を絶たないそうです。